成田エクスプレスは開業当初、千葉県内を「全駅スルー」していた!

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成田エクスプレスは1991年の運行開始以来、東京と成田空港を高速で結ぶ空港アクセス列車として機能してきた。しかし千葉駅の特急激減に地域から強い反発が起こり、1992年以降徐々に停車本数が増加。2010年代以降は羽田空港の国際線拡大や格安バスの台頭により競争が激化。成田エクスプレスは空港利用だけでなく沿線住民の移動需要にも対応し、役割転換を迫られている。

バスが変えた空港アクセス

成田エクスプレス(画像:写真AC)
成田エクスプレス(画像:写真AC)

 しかし1990(平成2)年12月、千葉県はJR東日本に要望書を提出した。1991年3月には千葉市議会が成田エクスプレスの千葉駅停車を求める決議を可決した。

 当初は停車を拒んでいたJR東日本だが、その後の協議で1992年3月から上下各2本、計4本のみ千葉駅に停車させることを決めた。1994年には一部列車が成田駅にも停車し、停車駅は徐々に増加していった。

 停車駅が増えた背景には、空港アクセス列車としての使命に専念できない事情もあった。

 いまや成田空港には格安航空会社(LCC)が就航し利用者が増加したが、同時に交通手段の競争も激化した。成田空港へのアクセスは年々安くなっている。

 現在、都内から最も安価に成田空港へ行ける手段は「エアポートバス東京・成田」である。銀座駅や東京駅から乗車でき、料金は1500円だ。

 このバスは2019年12月にLCCバスの「東京シャトル」と「THEアクセス成田」が統合して誕生した路線だ。東京シャトルは京成バスを中心としたグループが運行し、THEアクセス成田はビィー・トランセグループとJRバス関東の共同運行であった。

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