9000億円の再開発は誰のため? 築地プロジェクトが抱える「70年固定」という呪縛――「計画ありき」で失われる都市の“余白”とは

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築地市場跡地の再開発は総事業費9000億円、工期12年の大規模計画だ。用途が70年間固定されるため、変化する都市ニーズに対応しづらく、土地が「負の資産」となるリスクを孕む。建設費高騰や人手不足も不確実性を高め、未来志向のスローガンが本質を覆い隠すなか、都心更新の真価が問われている。

勝どき4棟タワマン計画の課題

築地地区まちづくり事業(画像:東京都)
築地地区まちづくり事業(画像:東京都)

 こうした「計画ありき」の姿勢は築地に限らない。築地市場跡地再開発と連動して、地下鉄臨海新線(東京~有明)の事業化も進んでいる。この動きに呼応する形で、隅田川対岸の勝どきでも、新たな再開発計画が動き始めた。晴海通り沿いの広いエリアに4棟のタワーマンションを建設する計画だ。

 再開発想定エリアのマンション住民はこう語る。

「再開発準備組合には加入していますが、会合には参加していませんでした。そんなとき、組合の名刺を持った東急不動産の社員が訪ねて来て、一通り説明を受けた後、今年の下半期に都市計画同意取得期間が始まるので、ぜひ同意をお願いしたいといわれました」

住民によると、計画は臨海新線の完成を前提にしているという。

「資料には記載されていませんが、竣工は2030年代初頭。また、中央区との協議で、タワーマンション内に小学校も建設するとのことです。素朴な疑問として、地下鉄の完成時期が未定であることや、建設費の高騰で多くの再開発が中断している現状について、どのように想定しているのか尋ねましたが、はぐらかされてしまいました」

このスケジュールで事業が進むのか。ある都市計画の専門家はこう答えた。

「都市計画が合意に達したとしても、権利変換などの諸手続きには3年ほどかかるでしょう。さらに、中央区内でも日本橋などとは異なり、マンションや個人宅が多いため、同意を得るのは容易ではありません。都心部の再開発に比べると、非常に難しい事業だといえます」

さらにこう続ける。

「現在、都心の「おいしいところ」といえる再開発はほとんど終わっています。大手デベロッパーも新たな事業計画を必死に探している状況です。そのため、事業化が難航しそうな地域の再開発計画にも参入せざるを得ないのです」

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