9000億円の再開発は誰のため? 築地プロジェクトが抱える「70年固定」という呪縛――「計画ありき」で失われる都市の“余白”とは

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築地市場跡地の再開発は総事業費9000億円、工期12年の大規模計画だ。用途が70年間固定されるため、変化する都市ニーズに対応しづらく、土地が「負の資産」となるリスクを孕む。建設費高騰や人手不足も不確実性を高め、未来志向のスローガンが本質を覆い隠すなか、都心更新の真価が問われている。

資材高騰と労働力不足の壁

 こうした指摘は実際の開発現場でも裏付けられている。渋谷、豊洲、品川などでは再開発計画の見直しや規模縮小が相次ぎ、かつてのように大型プロジェクトが次々と動き出す状況ではなくなっている。その背景には、

・建設資材費の高騰
・労働力不足
・脱炭素圧力

といった都市開発にかかる構造的な制約がある。こうしたなか、築地の再開発はどうか。デベロッパーの選択肢は急速に狭まっている。

 築地は土地を定期借地で、2026年から70年間、事業者(三井不動産を代表とする特別目的会社「築地まちづくり」)に貸し付ける。貸付料は1平方メートルあたり月額4497円と破格の条件だ。

「他では得られないおいしさ」

がある。

 しかし、この条件のよさの一方で、事業者は工期12年、総事業費9000億円という膨大なリスクを抱えている。建設費高騰や労働力不足が続くなか、長期プロジェクトの不確実性は極めて高い。一部では貸付料が安すぎるとの批判もあるが、リスクを考えれば決して安くはない。つまり築地再開発は最良の選択ではなく、残された唯一の選択として動いているともいえる。

 そのため、リスク回避の結果、構想は用途の追加やスローガンの上書き、未来的なキーワードの寄せ集めによって肥大化し、本質のない「キメラ」として凡庸な都市開発の繰り返しに陥っているのである。

 この70年という長期間の契約は、東京の街づくりにどのような影響を与えるのか。計画段階で多くの建物の用途はオフィス、住宅、MICEなどにほぼ固定されている。竣工後の用途変更は困難だ。結果として、70年間、都市ニーズが変わっても再開発区域全体が「動かせない空間」として都心に残り続ける。

 70年前は1955(昭和30)年だ。当時建てられたビルのうち、今も当初の用途通りに使われているものはどれだけあるだろうか。

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