7月5日の大災害デマ、責任の所在は「誰」にあるのか?──SNSと動画が潰した、地方国際線の経済構造

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SNS発“予言”が地方空港を直撃。アクセス数が億単位に達した誤情報の拡散で、訪日路線が相次ぎ運休へ。損なわれたのは航空便ではなく、「移動の意味」そのものだった。

「移動信頼」喪失の経済波紋

デマが世界中に広がるイメージ(画像:写真AC)
デマが世界中に広がるイメージ(画像:写真AC)

 情報と感情が行動の決定に与える影響は拡大している。観光や航空の政策は、供給インフラの整備や料金の調整だけでは不十分だ。人々が「行く」と判断する過程にどのような外部要因が影響するかを把握し、管理し対処する枠組みが必要である。

 今回失われたのは航空便そのもの以上に、

「移動に値する」

という信頼である。この信頼の喪失が一企業の判断にとどまらず、地域経済にまで波及した事実は、情報環境が現実の経済行動を左右する段階に入ったことを示している。これは例外ではなく、今後頻発する問題の先駆けである。

 対応すべき対象は、予言という表現そのものではない。それを現実的な選択肢として受け取らせてしまう情報流通環境の設計にこそ、目を向ける必要がある。誤情報が人々の行動を左右しうる状態を放置したまま、拡散に経済的誘因を埋め込んだプラットフォームの設計。そして、その動態を把握しながらも有効な制度的制御を講じなかった行政の対応。このふたつの不作為が、問題の核心にある。

 個別の発信者を責めるだけでは、本質的な再発防止にはつながらない。収益構造と影響力の交差点が規律なく放置された結果、移動という現実のインフラが損なわれた。この構造的損失こそが、今回の事態の本質である。

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