7月5日の大災害デマ、責任の所在は「誰」にあるのか?──SNSと動画が潰した、地方国際線の経済構造

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SNS発“予言”が地方空港を直撃。アクセス数が億単位に達した誤情報の拡散で、訪日路線が相次ぎ運休へ。損なわれたのは航空便ではなく、「移動の意味」そのものだった。

再発防止への介入

再発防止策のイメージ(画像:写真AC)
再発防止策のイメージ(画像:写真AC)

 再発を防ぐためには三つの方向からの対策が必要である。

 第一に、SNSや動画サイトの表示順位を決める仕組みを検証すべきだ。表示の順番は、視聴時間や反応数といったデータをもとに自動で決まっている。この仕組みが誤情報の拡散を助長している可能性がある。しかし、なぜその投稿が選ばれたのか、どのように広まったのかは運営者だけが知っており、外部から調査することはできていない。データの所有権の観点からも、特定の投稿が広まる過程や、それが人の行動にどう影響したかを追跡できる仕組みが求められる。

 また、情報が急速に広がりすぎた場合に自動で拡散を抑制する仕組みも必要である。こうした規制は民間企業の判断に任せるべきではない。情報が社会の重要な部分に影響を与えるなら、規制の枠組みを見直す必要がある。

 第二に、公的機関の情報提供の目的を、単に事実を知らせることから「人々の考え方を導くこと」へ転換すべきだ。とくに観光分野では、ただ情報を伝えるだけでは行動につながらない。重要なのは、情報を受け取る人がどのような考え方で理解し、行動を決めるかである。今回の例は、論理よりも文化や感情が意思決定に影響を与える地域があることを示している。

 対策としては、特定の地域で効果的な伝え方を見つけ、その方法で情報を届ける必要がある。発信者の論理ではなく、受け手の考え方に合わせて内容を翻訳し、編集することが求められる。正確な情報を保ちつつ、受け取り方を戦略的に調整しなければならない。

 第三に、地方空港の路線維持の判断には、問題が起きてから対応するのではなく、あらかじめ補う仕組みを制度化すべきである。航空路線は地域の交通を支える設備であると同時に、事業として続けられるかどうか常に検討されている。今回のように、短期間で利用者が減り収益予測が悪化すると、運休の判断が速やかに下される。こうした場合、延命のための交渉だけでは不十分だ。

 需要が急に減るリスクをあらかじめ数字で示し、それに備えるための資金の安全網を常に用意することが求められる。問題は損失の補填だけでなく、誰がどの基準で継続を判断するかという評価の仕組みを共有することにある。地域、事業者、自治体の三者が、航空路線を単なる交通機関ではなく、外部から人を呼び込むための重要な政策資産とみなす共通認識を持つことが重要だ。

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