「中古車が高くて買えない」 輸出1.5兆円市場の功罪──需給の再設計は可能か?
2023年の中古車輸出が154万台で過去最高を更新。円安や品質評価を追い風に1.5兆円市場へと成長する一方、国内相場や地政学リスクも複雑化。輸出拡大と需給再編が自動車産業全体の構造改革を加速させている。
出品増と値下がりの市場転換期

国内のオークション市場で新たな動きが出ている。2025年に入り、出品台数が増加し、相場に下落の兆候が現れた。特に3~5年落ちの車両は2023年と同水準まで値を下げている。背景には、トヨタ車の新車登録台数増加にともなう下取り車の市場流入がある。
一方、輸出市場には追い風も吹いている。スリランカが2025年2月から約5年ぶりに自動車輸入を再開した。外貨不足で停止していた輸入制限の解除により、日本車の需要が高まっている。ただし、一部には供給過多の懸念もある。アルファードやヴェルファイアなどの人気車種でも、輸出先市場での車両過多が相場急落を招いた例が確認された。輸出先の動向を注視しつつ、バランスの取れた市場育成が求められる。
輸出市場にはリスクも存在する。2025年6月、イラン・イスラエル情勢が悪化し、世界の原油供給の約2割が通るホルムズ海峡の航行が不安定化した。さらに、ケニアでは7月から中古車輸入関税が最大145%に引き上げられるなど、輸入国の規制強化が目立つ。
業界関係者は、短期的な好機にとらわれず、中長期的な視点でリスク管理を徹底すべきだと指摘している(JETRO「地域・分析レポート」)。対策も進展し、輸出先の分散や為替リスクのヘッジを各社が強化している。物流ルートの複数確保も不可欠だ。海外での日本車ブランド価値向上は長期的な競争力につながる。業界のガイドライン策定も進み、政府は輸出促進と国内供給安定の両立を目指している。官民が連携し、市場育成に努めている。