JR東日本はなぜ「夜行特急」を復活させるのか? 全室個室で青森12時間運行――「常設化」への試金石となるか?
JR東日本は2027年春、改造E657系による全室個室の夜行特急を開始する。テレワーク対応やシニア向けプレミアム車を備え、宿泊費高騰や多様化する移動ニーズに対応。限定運行から常設化を目指すテストマーケティングで、「移動+休息」の質向上を狙う。鉄道の快適性で差別化し、採算性やビジネス展開を検証する試金石となるか。
交直両用車の費用対効果
今回の夜行列車に使用されるE657系は、2011(平成23)年に登場した車両だ。車齢は比較的若く、改造ベースとしても妥当といえる。特急「ひたち」「ときわ」で使われてきた常磐線用の交直両用車であり、首都圏と東北地方を1本で結ぶ上で技術的な要件を満たしている。
常磐線は、首都圏側が直流1500V、藤代以北が交流20kV/50Hzという構成となっている。東北方面への直通運転には、こうした電源切替に対応できる交直両用車両が不可欠だ。交直両用車は、直流専用や交流専用と比べて新造コストが高い。このため、今回は費用対効果やSDGsの観点から、既存車両の有効活用という方針が選ばれたと見られる。
結果として、比較的新しいE657系を改造することで、新造車では得られないコスト圧縮と導入スピードを実現している。すでに認知度のある車両を活用することで、話題性と稼働率を同時に狙う戦略だ。
この構図は、117系通勤車両をベースにした「WEST EXPRESS 銀河」とも共通点がある。ただし、今回の夜行列車は青森までの12時間運行を想定し、
「全室個室」
という構成をとる。この点が、長距離対応型として再投資する価値があるかどうかを判断するポイントとなる。