東京湾アクアライン「渋滞64%減」の実績――日本に13人しかいない「渋滞予報士」をご存じか

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渋滞予報士は、過去3年分のデータ分析と専門知見で1か月先まで精緻に渋滞を予測。AIが注目される一方、2024年時点でわずか13人のプロが安全・快適な交通環境を支えている。

ペースメーカー効果で渋滞64%減少

東京湾アクアラインのペースメーカーライト(画像:NEXCO東日本)
東京湾アクアラインのペースメーカーライト(画像:NEXCO東日本)

 渋滞予報士のAI時代における必要性について考えるにあたり、まずは渋滞予測について正しく理解しておきたい。渋滞予測の目的は渋滞を予測することに加え、予測した渋滞を周知し、利用者に渋滞を回避してもらって予測した渋滞を緩和させることにある。

 渋滞予報士はそのための「広告塔」としての役割も担っており、情報周知のためにメディアに登場することもある。渋滞回避を促し、ドライバーが安全に走行できるようサポートするのだ。さらに、渋滞を緩和させる対策を企画したりもする。

 実際に、渋滞発生ポイントである東京湾アクアラインの川崎浮島ジャンクション付近の上り坂を例に挙げてみよう。アクアトンネル内で勾配が変化し、速度低下による渋滞が発生した際、渋滞予報士は企画・検討に携わり「ペースメーカーライト」を設置。トンネル内でライトが進行方向に流れるように点滅し、運転手はライトの流れる速度に合わせようとすることで、速度回復を図った。

「東京湾アクアラインにおけるペースメーカーライトの運用と効果検証について」と題する論文によれば、ピーク15分間の交通流率は平均値で3.2%増加。さらに渋滞時所要時間は5分程度短縮されたという。平均日交通量が5%ほど増加したにも関わらず、渋滞量が64%減少し、路線全体の渋滞量も21%減少する結果となり、渋滞緩和に一定の効果があることを確認できたと報告している。

 このように、渋滞予報士が行う広範な渋滞予測の仕事をAIがすべて担うのは難しいといえるだろう。つまり、渋滞予報士は必要なのだ。

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