「現存最古の路面電車」はなぜ残されたのか──債務37億円の「とさでん交通」 12億円支援の実情と10年後のあるべき姿とは

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高知県を走るとさでん交通の路面電車は、当面存続することになった。県や高知市など沿線の地方自治体が支援の拡大を決めたためだ。しかし、将来の危機が完全に回避されたわけではない。

県と沿線市町が約12億円の協調支援

車や路面電車が行き交う高知市の中心部(画像:高田泰)
車や路面電車が行き交う高知市の中心部(画像:高田泰)

 危機感を抱いた県は高知市、南国市、土佐市、いの町のとさでん交通路面電車、路線バス沿線4市町と協議した結果、路面電車について当面、現状を維持し、車両や施設の老朽化で大幅な設備投資が見込まれる10年後の姿を検討する方向性を示した。

 とさでん交通は高速バスや貸切バスの収益で公共交通を維持するビジネスモデルだが、負債の増加で設備投資に必要最小限の予算しか振り向けられず、老朽化した車両や設備の更新ができていなかった。そのうえ、運転士不足を乗り切るため報酬増の予算も乏しい。

 バス路線は縮小が続き、このままではじり貧に陥りかねないことから、コロナ禍で増えた約12億円の債務解消を目指して協調支援を決めた。支援額は県が約8億円、4市町が約4億円。4市町の内訳は人口規模や運行路線の延長から、高知市が約3億2500万円、南国市が約3800万円、いの町が約2300万円、土佐市が約750万円となった。

 県交通運輸政策課は

「とさでん交通の経営は負の循環に陥ろうとしている。コロナ禍で増えた負債を解消することで悪い流れを断ち切り、コロナ禍前の経営状態を取り戻したい」

と狙いを説明した。とさでん交通は「これで車両や設備更新、乗務員不足に手を打てる。協調支援を経営改善のきっかけにしたい」と胸をなでおろしている。

 路面電車の長期的なあり方を検討する会議も6月から始まった。高知市の高知共済会館で開かれた初会合には、会長を務める高知工科大システム工学群の西内裕晶教授ら有識者、事業者、沿線自治体関係者ら委員14人が出席、とさでん交通から本来必要な年間8億円の維持費を必要最小限の2億3000万円に圧縮している現状の報告を受けた。

 検討会は今後、路線維持に必要となる将来的な設備投資のコストや、詳細な利用状況、路線バスとの競合などについて調査を進め、2026年秋ごろに10年後のあり方をまとめる方針だ。

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