スズキ「輸入車市場」の覇者へ ベンツを凌駕した「インド製ジムニー」の衝撃ーーその陰で加速する“国産車の空洞化”とその未来
国内生産神話の崩壊

日本が抱える少子高齢化や都市部への人口集中は、国内需要の先細りを招く構造的要因となっている。地方では自動車が生活必需品であるため一定の需要が残るが、若年層のクルマ離れが全体の需要低下を加速させている。
このような環境下では、国内生産によって競争力を維持できるという従来の“神話”が揺らいでいる。保守的な商品開発を続ければ、消費者ニーズとの乖離が広がり、販売減少につながる可能性が高い。最終的には、経営危機に直面するリスクも否定できない。
トランプ政権による自動車関税政策は、対日圧力を再燃させる要因とされている。1990年代のような日米貿易摩擦の再来を招く可能性もある。仮に関税が強化されれば、日本メーカーは米国での現地生産に一層依存せざるを得ず、厳しい立場に追い込まれる。
こうした状況を受け、日本政府は日米通商交渉における対抗策として、米国製日本車の輸入促進を検討している。摩擦再燃を回避する手段と位置づけるが、逆輸入の増加は国内の輸入車市場にも影響を及ぼす。輸入車ランキングが大きく変動する可能性がある。
世界の自動車市場を席巻するトヨタは、日本国内で年間約300万台の生産を維持するとしている。日本の自動車産業の代表格として、その象徴性を重視している。しかし2030年をめどに国内生産の再編を計画している。2035年ごろには、東海地方から東北および九州へ各20万台規模の生産移管が見込まれている。国内全体の生産水準は一定程度維持するものの、地方ごとには最適化が必要で、市場実態との乖離もある。
一方で、他のメーカーはトヨタとは異なる道を選んでいる。三菱自動車は、台湾の鴻海精密工業にオセアニア向けのEV生産を委託し、2026年後半から販売開始する予定だ。マツダはトランプ関税の影響で国内生産が減少し、希望退職の募集による人員削減を進めている。