「車を直せない時代」が来る? 専門学校入学者「47%減」の衝撃――なぜ自動車整備士は「3K」イメージを払拭できないのか
所有欲なき世代の価値転換

自動車整備士は、人々の暮らしを支える重要な職業である。それにもかかわらず、なぜ若者からの支持を失ってしまったのか。
かつて自動車は、若者にとって一種のステータスだった。しかし時代が進むにつれ、所有の必要性が薄れてきている。とりわけ都市部ではその傾向が顕著だ。公共交通の発達に加え、レンタカーやカーシェアといった「使う」ための手段が充実したことで、クルマなしでも不自由なく生活できるという価値観が広がっている。
若者の興味の変化も大きな要因だ。スマートフォンの普及により、SNSやゲームといった娯楽が日常的に楽しめるようになった。その結果、休日にクルマをいじるといった趣味は廃れつつある。かつてのような車への憧れは薄れ、経済的負担の大きさも影響している。物価の上昇、税負担や社会保険料の増加により、クルマの優先順位は下がっている。
職業としての自動車整備士にも課題がある。今なお「3K(キツい・汚い・危険)」の印象が根強く残っている。敬遠される要因となっているのは、そうした労働環境のイメージだ。実際には、近年になって設備の改善や作業環境の清潔化が進んでいる。作業管理システムの導入によって業務の効率化も図られている。だが、依然として過去のイメージが払拭されていないのが現状だ。
さらに、給与水準の低さも深刻な課題となっている。整備士になるには、専門学校に通って国家資格を取得する必要がある。専門性と肉体労働が求められる職業にもかかわらず、賃金水準は他業種と比べて見劣りする。安定収入や高水準の給与を求める若者にとっては、選択肢になりにくい職業である。
また、体力に依存する仕事であるため、長期的なキャリア形成が難しいと感じる人も多い。職業選択の幅が広がるなかで、こうした負の印象が定着したままなのが実情だ。労働環境や待遇の改善が進みにくい構造が、整備士志望者の減少に拍車をかけている。