茨城空港「首都圏第三空港」の夢は消えた?――常磐線アクセス改善で“マイルドな地方空港”へ変身、今後を考える
開港から15年が経ち、茨城空港のポジショニングは大きく変化した。首都圏を背負わないかたちで進む「地方空港化」は、ゆるやかな成長なのか。それとも静かな限界なのか。
ロケ誘致で狙う空港ブランディング

茨城空港に限った話ではないが、空港の利用者は搭乗客や送迎客だけではない。全国各地の空港は、今や地域にとって有力な観光施設や集客拠点のひとつとなっている。離発着する飛行機を眺めるという空港特有の体験に加え、施設内には飲食店や土産物店が並ぶ。宿泊施設や温浴施設を併設する空港も珍しくない。
茨城空港のターミナルビルは決して大きくないが、複数の飲食店や土産物店が営業している。土日祝日にはそれなりの賑わいを見せている。石岡駅前と茨城空港を結ぶ路線バスにも、搭乗客や送迎客以外に、往復乗車券を購入し空港観光を楽しむ目的の乗客が見られた。
また、茨城空港は自衛隊との共用空港であり、その特性を活かして敷地内の公園に航空自衛隊の飛行機を展示している。その一画は、ちょっとした航空公園といった趣だ。非定期の分野でも、茨城空港に限らず、航空ショーなどのイベント開催や修学旅行、スポットチャーター便、ビジネスジェットの誘致といった展開が考えられる。
さらに、茨城空港は羽田や成田に比べて余裕があるため、過去に何度かテレビドラマのロケ地として使われ、大きな話題となった。ロケ地誘致は直接的な需要の多寡よりも、空港の認知度向上やブランディングに直結する。聖地巡りと連動すれば、観光振興にもつながる可能性がある。
茨城空港の旅客数は、開港した2010年度が20万人だった。コロナ禍前のピークである2019年には78万人に達し、緩やかに伸び続けてきた。コロナで一時落ち込んだが、2023年度には75万人まで回復している。
この数字が今後どこまで伸びるかは見通せない。だが、大規模インフラとしての空港ではなく、地元需要を吸収する地方空港としての役割を明確にすれば、その成長余地は十分にあるといえる。