ホンダ「EV後退」は時間稼ぎ? 2030年「HV220万台」目標の背景──生産会計・地域戦略から読み解く“次の制空権”

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ホンダが電動化戦略を大胆に見直し、2030年のEV販売目標を従来の200万台から約140万台へと引き下げた。HVに13車種を投入し、知能化技術の段階的導入で事業基盤の再構築を図る背景には、市場冷え込みと通商政策の不確実性がある。柔軟な製品ポートフォリオと地域別戦略を武器に、次世代移動体験の主導権奪回を狙うホンダの戦略転換を読み解く。

知能化の主戦場化

上海モーターショー2025でのホンダとモメンタの提携発表の様子(画像:モメンタ)
上海モーターショー2025でのホンダとモメンタの提携発表の様子(画像:モメンタ)

 ホンダは、次世代の先進運転支援システム(ADAS)を独自に開発し、四輪車への適用拡大を通じて競争力の強化を図る。具体的には、2027年ごろをめどに、北米と日本でEVおよびHVの主力モデルに幅広く搭載する方針だ。

 とりわけ、ADAS導入のハードルが高い市街地走行に重点を置く。自動運転開発で培った認識技術や行動計画技術を応用し、複雑な都市環境での運転支援に挑む。この取り組みは、ホンダにとって技術開発への覚悟の表れでもあり、移動体験の定義そのものを塗り替える挑戦となる。

 一方、中国市場では、自動運転スタートアップのMomenta(モメンタ)と共同開発を進める。現地の道路環境に最適化した次世代ADASをすべての新型車に搭載する計画だ。北米や日本では自社開発を堅持する一方で、中国では外部パートナーとの連携によって、急速に進む電動化・知能化の流れに対応する。

 これは知能化を競争優位の核心と位置づけた、戦略的な布石である。

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