ホンダ「EV後退」は時間稼ぎ? 2030年「HV220万台」目標の背景──生産会計・地域戦略から読み解く“次の制空権”
ホンダが電動化戦略を大胆に見直し、2030年のEV販売目標を従来の200万台から約140万台へと引き下げた。HVに13車種を投入し、知能化技術の段階的導入で事業基盤の再構築を図る背景には、市場冷え込みと通商政策の不確実性がある。柔軟な製品ポートフォリオと地域別戦略を武器に、次世代移動体験の主導権奪回を狙うホンダの戦略転換を読み解く。
過渡期を生き抜く「中庸」の技術

ホンダは2022年4月時点で、2030年までにグローバルでEVを30車種投入し、年間200万台超の生産を計画していた。その後、2024年11月に電動化目標を更新。EVおよび燃料電池車の販売比率を2030年に40%、2035年に80%、2040年に100%とし、脱エンジン車の方針を明確にした。
しかし、今回のビジネスアップデートでは、2030年の四輪販売台数を360万台以上とする一方で、HVを220万台とする目標を示した。EVの具体的な販売目標は公表されなかったが、140万台を下回る見通しとなり、2022年時点の目標(200万台)の7割にとどまる。
ホンダは、次世代ハイブリッド車をEV普及までの過渡期を支えるパワートレーンとして位置づける。これにより、社内のエンジニアに活躍の場を残し、既存の生産設備も活用する構えだ。HVの延命は、エンジン技術に強みを持つメーカーとして、残された利益を確保するための“最後の砦”ともいえる。
同時に、本格的な電動化を見据えた事業基盤の強化策として、HVを中核に据える道も開かれる。今後、トヨタとの競争が激化するハイブリッド市場において、ホンダは技術優位とコスト競争力の両立をかけた勝負に挑む姿勢を見せている。