マツダ「魂動デザイン」が抱える矛盾? 美を極めたのに「車種の見分けがつかない」逆説、デザイン戦略のジレンマを考える
マツダの魂動デザインは、2016年以降4度の国際デザイン賞を獲得し、独自の美学と塗装技術で世界的評価を得ている。しかし、統一感の強さが各モデルの個性を薄め、消費者の識別困難という課題を抱える。美と差異の両立が今後のカギとなる。
共通化進むデザイン戦略
デザイン言語の共通化は、マツダに限った現象ではない。日産は「Vモーション」、三菱は「ダイナミックシールド」といった、各社独自のデザインテーマを掲げている。顔つきに共通点があっても、各モデルの個性は明確に区別できる。
一方、マツダは「ブランド全体でひとつの顔」という印象が極めて強い。たとえばCX-30、CX-5、CX-60は、それぞれ異なる設計思想とキャラクターを備えている。それでも一般的な視点では、「マツダのSUV」として一括りに認識されがちだ。
この現象は、単に人間の認知心理だけでは説明がつかない。マツダの場合、デザインの完成度と統一感があまりにも高いため、モデルごとの差異が統一美の中に埋没している。