マツダ「魂動デザイン」が抱える矛盾? 美を極めたのに「車種の見分けがつかない」逆説、デザイン戦略のジレンマを考える
マツダの魂動デザインは、2016年以降4度の国際デザイン賞を獲得し、独自の美学と塗装技術で世界的評価を得ている。しかし、統一感の強さが各モデルの個性を薄め、消費者の識別困難という課題を抱える。美と差異の両立が今後のカギとなる。
魂動デザインの逆説

マツダ車は国産車のなかで、数少ないデザインで選ばれるブランドである。それは確かな誇りだ。見た瞬間に美しいと感じさせる力を持つ。
しかし、魂動デザインという哲学の存在感があまりにも大きくなり過ぎた。結果として、各車種に宿る物語は、ニュアンスの違いにとどまるマイナーな差異に陥っている。
車種ごとに設計思想やサイズ感は異なる。細部には確かな違いもある。それにもかかわらず、街中で見かけた瞬間、その違いは完成度の高い統一美に圧倒され、記憶から消えてしまうのだ。
美を極めたゆえに、美しさだけが記憶に残り、モデルのアイデンティティは存在感を失う。この静かな逆説が、現在のマツダデザインに潜んでいる。
統一された完成美とモデルごとの個性の両立は、容易ではない。
マツダはこれまで築いた美の世界観をさらに磨き続けるだろう。一方で、モデルごとの輪郭をどう鮮明に描き出すかが課題となる。それは、美しさを維持するうえで避けて通れない問いとなるはずだ。