コメ価格「決して高くない」 JA全中会長の発言が全然問題ないワケ

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2025年春、日本の主食であるコメの価格が急騰し、5kgで約2倍に。消費者からは不満の声が上がるなか、JA全中の山野会長は「決して高くない」と反論。その根底にある合理的な理由とは。コメ価格を巡る複雑な流通の構造と、経済全体に与える影響を解明する。

「米価の適正判断」を問う構造

トラック(画像:写真AC)
トラック(画像:写真AC)

 米価が高すぎると感じるかどうかは、実際の収入と深く関係している。実質可処分所得は過去に比べて大きく減っている。給与は変わらず、社会保険料と税金が増えているから、生活必需品が高く感じられるのは当然だ。

 しかし、米の供給側はここ10年、赤字価格に耐えてきた。それを今、是正しようとすれば、価格上昇は避けられない。これは、運賃が安すぎたためにドライバー不足が起こり、タクシー料金を引き上げたことに似ている。消費者は「米が高すぎる」といい、生産者は「適正な価格だ」と主張している。

 コメの価格は、消費者から見ると確かに高い。しかし、物価全体と同じように、価格が正しいかどうかは、生産、流通、消費の各段階で必要な条件が満たされているかで決まる。生産者が持続可能なコストで作り、流通業者が損失なく輸送し、消費者が情報を得て選べる状況であれば、その価格は正しい。

 だから、JA会長が「決して高くない」といったのは、全体の構造を見ての結論だ。問題は、その価格が国民に耐えられるかではなく、適切な所得環境や流通設計があるかどうかだ。

 いい換えれば、米価の問題はもはや農業政策だけの問題ではない。これは、日本社会が適正な価格を適正と感じられる構造を持っているかどうかを問うものだろう。

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