トンネル出口で吹く「横風」はなぜ危険なのか? 時速10m/sで1m横滑りの衝撃データ――ミニバン・トラックが“横転”する死角とは

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風速ごとの危険度、車種別のリスク、そして高速道路の規制基準(瞬間風速20m/s以上で通行止め)を踏まえ、安全運転のための具体的な対策を解説する。

横転リスクを高める空荷車両

横風で流される距離(画像:JAF)
横風で流される距離(画像:JAF)

 強風時に横風の影響を受けやすいのは、「車高の高いトラック」「全高1.5m以上のミニバン」「ワンボックスカー」「SUV」「軽ハイトワゴン」などのタイプだ。

 JAFによるユーザーテストでは、横風によってクルマがどの程度流されるかが実験されている。車高が低いセダンとワンボックスカーを比較したところ、明確な差が出た。ワンボックスカーの横流れ距離は以下のとおりだった。

・風速12m/sのとき:100cm
・風速23m/sのとき:165cm

一方、セダンは以下の結果となった。

・風速12m/sのとき:50cm
・風速23m/sのとき:67cm

このことから、車高の高い車種は横風の影響を受けやすいことがわかる。

 本州四国連絡高速道路のウェブサイトにも、横風リスクについての注意喚起がある。とくに空荷状態のアルミバントラックは重心が高く、横転の危険性が非常に高いとされている。

 こうした状況では、走行時のスピードを抑え、急ハンドルや急ブレーキを避けるべきだ。加えて、事故を未然に防ぐため、横風に弱い車両とは並走しない。他車との車間距離を十分にとることも重要である。

 より慎重な対応としては、事前に天気予報や風速情報を確認し、強風の日は運転を控える判断も有効だ。

 走行中の横風は決して軽視できない。万が一、車体があおられたり、横転しそうになった際には、慌てず冷静に対応することが求められる。

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