「トヨタ・ウェイモ提携」は車両製造終焉への序章か? 走行データが示す次世代覇権! 自動車産業の命運どうなる

キーワード :
, , ,
トヨタ自動車はWaymoとの戦略的提携を発表。自動運転技術の高度化を目指し、両社はソフトウェアと車両開発の融合を図る。自動車産業の転換期、車両販売から運用経済へと移行するなかで、共に新たな価値創出を模索する。

筆者への反対意見

Waymoのロボタクシー車両(画像:Waymo)
Waymoのロボタクシー車両(画像:Waymo)

 ただし今回の提携には、いくつかの懸念もある。反対意見も少なくないだろう。

 第一に、自動運転を社会に受け入れてもらうには、インフラや法制度の整備が不可欠である。だが、地域によって整備状況にばらつきがあり、それが実現の障壁になりかねない。特に地方都市では、高精度地図やV2X通信といった基盤が未整備なケースも多く、技術だけが先行しても自動運転の市販化は時期尚早との見方も根強い。

 次に、事故発生時の責任分担も解決すべき課題である。車両製造者としての責任はトヨタにあるが、自動運転アルゴリズムを提供するのはウェイモだ。どちらに法的責任が帰属するのか。その線引きは曖昧なままであり、あらかじめ明確にしておく必要がある。

 さらに、ウェイモのプラットフォームに依存が進めば、トヨタの車両設計における自由度が制限される可能性もある。自動運転を成立させるには、車両にセンサーやライダーを搭載する必要がある。しかし、ウェイモが定める仕様に従うことで、独自設計との互換性が損なわれるリスクが生じる。

 加えて、日本国内には依然として海外企業との提携に慎重な声が根強く残っている。自動車産業は地域経済と雇用を支える存在であり、ウェイモのような海外企業に主導権を握られることへの懸念は拭えない。技術的な自立や産業保護の観点から、今回の提携が中長期的に国益に資するものなのか。そうした視点からの議論も避けられないだろう。

全てのコメントを見る