「トヨタ・ウェイモ提携」は車両製造終焉への序章か? 走行データが示す次世代覇権! 自動車産業の命運どうなる

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トヨタ自動車はWaymoとの戦略的提携を発表。自動運転技術の高度化を目指し、両社はソフトウェアと車両開発の融合を図る。自動車産業の転換期、車両販売から運用経済へと移行するなかで、共に新たな価値創出を模索する。

筆者の意見

トヨタ・ウーブンシティ(画像:トヨタ自動車)
トヨタ・ウーブンシティ(画像:トヨタ自動車)

 今回の提携で最も注目すべき点は、単なる技術連携にとどまらないことだ。これは、自動車産業における転換点として位置づけられる。

 これまでの利益の源泉は、大量生産と大量販売によってスケールメリットを最大化するモデルにあった。しかしこの従来型のビジネスモデルは、限界に近づきつつある。

 現在、焦点は「車をいかに多く売るか」から、

「いかに長く運用するか」

へと移っている。ユーザーが走行に費やす時間を最大化し、その稼働から収益を得る――運用経済への移行が進んでいる。

 将来的に自動運転が都市交通の中核を担えば、車は個人が所有するモノから、サービスとして提供される共有資産へと再定義される。車両は売り切り型の製品ではなく、運用されるプラットフォームとして価値を持つ。

 この新たな時代において、ウェイモが持つ強みは圧倒的な走行データ量にある。自動運転車両が走行するたびに、ルートや目的地、環境に関する膨大な情報が蓄積される。これらのデータは、そのまま収益源となり得る。

 たとえソフトウェアの利用単価が安価でも、価値密度は高い。ユーザーが繰り返し利用することで、莫大な収益を生む構造が成立する。

 トヨタにとっても、こうした収益モデルの獲得には大きな意味がある。車両がプラットフォームとして稼働し続ける限り、トヨタは継続的にデータと収益を享受できる。

 従来のように販売と同時に利益が確定するのではなく、車両のライフサイクル全体を通じて収益を上げる仕組みへの転換が可能となる。トヨタとウェイモの提携がもたらすのは、長期的な利益配分への転換にほかならない。実のところ、今回の提携の本質はそこにある。

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