「トヨタ・ウェイモ提携」は車両製造終焉への序章か? 走行データが示す次世代覇権! 自動車産業の命運どうなる

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トヨタ自動車はWaymoとの戦略的提携を発表。自動運転技術の高度化を目指し、両社はソフトウェアと車両開発の融合を図る。自動車産業の転換期、車両販売から運用経済へと移行するなかで、共に新たな価値創出を模索する。

変化した競争軸

米国・サンフランシスコで展開されているWaymoのロボタクシーサービス(画像:Waymo)
米国・サンフランシスコで展開されているWaymoのロボタクシーサービス(画像:Waymo)

 今回の提携には、トヨタのソフトウェアおよび次世代技術開発を担うウーブン・バイ・トヨタも関与している。トヨタは、自動運転やソフトウェア開発を前提としたソフト定義車(SDV)との親和性を重視している。

 一方のウェイモは、2017年に自動運転タクシー事業を開始。米国におけるロボタクシー普及の先駆者として存在感を高めてきた。現在は、サンフランシスコ、ロサンゼルス、フェニックス、オースティンの各都市でサービスを展開し、週25万回以上を運行。走行距離はすでに数千万マイルに達している。

 ウェイモが培ってきた自動運転の技術と運用ノウハウは、トヨタが今後めざす市販車両への自動運転技術の実装に直結する。トヨタは、これからの自動車産業では単に車両を製造・販売するのではなく、ソフトウェアとの連携が新たな価値を生むと判断している。

 こうした方向転換の背景には、ハードをつくる側と、ソフトを運用する側との力関係の変化がある。従来の自動車メーカーは、生産設備やサプライチェーンの効率化を通じて競争力を築いてきた。しかしテスラのような新興勢力は、ソフトウェアのアップデートによって機能を追加し、高度運転支援サービスを拡張している。影響力はハードからソフトへとシフトしつつある。

 トヨタもかねてより「eパレット構想」を掲げ、移動の価値の再定義に取り組んできた。ただし、これまでは自社主導による垂直統合モデルを志向し、外部パートナーとの連携には慎重な姿勢を見せていた。

 一方で、ウェイモは現代自動車(韓国)や吉利汽車(中国)などとの協業をすでに進めている。そうした状況下、トヨタは従来のスタンスを転換し、外部との連携を通じて時代に適応しようとしている。今回の提携は、その象徴的な一歩といえる。

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