「17歳半で仮免許」は朗報なのか? 早生まれ高3「ホッと一息」も、若年事故リスク増の懸念! 制度改正の真価を問う

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2026年度から、仮免許の取得年齢が「18歳」から「17歳6か月」へと前倒しされる。対象は約26万人の早生まれ高校生。就職支援と交通安全のバランスを図る制度改正は、人手不足に悩む現場にも波及効果をもたらす可能性がある。

「半年」なのに引き下げられる理由

初心者マークをもつ女子学生(画像:写真AC)
初心者マークをもつ女子学生(画像:写真AC)

 警察庁による規制の事前評価によれば、今回の法改正の目的は早生まれの高校3年生に配慮した措置であることがわかる。1~3月生まれの生徒が、進学や就職までに普通免許を取得できるようにするのが狙いだ。

 これまで早生まれの高校3年生は、18歳の誕生日を迎えるまで仮免許の取得が認められていなかった。そのため、教習所に通い始める時期が遅れ、路上教習から卒業、本試験までのスケジュールが、進学・就職直前にずれ込むケースが多かった。

 加えて、卒業シーズンの教習所は年間でもっとも混雑する。予約が取りにくく、思うように教習が進まないこともある。その結果、進路先に間に合うよう免許を取得することが難しくなる状況が生じていた。

 特に、高校卒業後すぐに就職する学生にとっては切実な問題である。免許の有無が採用条件に関わることも少なくない。こうした課題の解消を目的として、仮免許の取得年齢を半年だけ前倒しする改正が打ち出された。

 2026年度に18歳となる早生まれの人口は、推計で約26万人にのぼる。そのなかには、高卒で社会に出る人材も一定数含まれると見られる。にもかかわらず、誕生日の遅さが原因で免許取得のタイミングが他の同級生より遅れると、進路選択において不利になる可能性がある。

 今回の法改正は、こうした不公平感を軽減し、早生まれの若年労働力を有効に活用するための環境整備といえる。人手不足が深刻化する中で、若年層の就労機会を少しでも広げようとする動きのひとつと位置づけられる。

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