75%以上がルール無視! 郵便局のずさんな安全管理! 「点呼」はなぜ形骸化したのか? 効率化の陰で増大したリスクを考える

キーワード :
, ,
日本郵便の全国調査で、7割以上の拠点で乗務点呼の不備が判明。効率化を追求する現場では、安全確認業務の軽視が事故リスクを高めている。経営と現場の摩擦、そして制度設計の課題が浮き彫りに。組織の柔軟な対応と最適化が求められる中、リスク回避のための投資が不可欠だ。

7割不備が示す制度疲労

郵便イメージ(画像:写真AC)
郵便イメージ(画像:写真AC)

「適切な点呼が行われていなかった」

この一文が、日本郵便のネットワークに衝撃を与えている。日本郵便が全国の集配拠点を対象に実施した調査の結果、約3200局中2391局、つまり7割を超える拠点で、飲酒や健康状態を確認する乗務点呼に不備があったことが判明した。

 これに対し、国土交通省は報告書を精査し、全国の運輸局を通じて監査を行う予定だと発表しており、事態の深刻さが浮き彫りになっている。

 しかし、この問題を業務怠慢やコンプライアンス違反だけと片付けることは、本質を見誤ることになる。そこには、制度と運用、責任と現実の間にある複雑なズレが存在する。

 本稿では、点呼という一見単純な運用項目を巡る全国的な不備の背景を、配送業務と制度設計の接点、そして経営と現場の摩擦という観点から立体的に捉え直す。

全てのコメントを見る