「コンパクトSUV」が選ばれる根本理由! 止まらぬ「ちょい高級」化、手の届く贅沢に熱視線の現実
高級感と実用性を備えた全長4.5m以下のコンパクトSUVが台頭。2025年3月の登録台数は前年比2.6%増の8.7万台に達した。「小さな高級車」という新潮流が、都市生活者の価値観や環境意識の変化を背景に定着しつつある。
登録台数9%増が示す新潮流

日本の自動車市場で、新たな潮流が生まれている。コンパクトスポーツタイプ多目的車(SUV)が多目的車から「小さな高級車」へと進化しつつある。
日本自動車販売協会連合会の統計によれば、2025年3月のSUV登録台数は8万7444台。前年同月比で2.6%増加した。1~3月の累計では23万4177台。前年同期比で9.1%増という伸びを見せている。
なかでも注目されるのが、プレミアム感を備えたコンパクトSUVの増加だ。以前のSUVは、大きくて無骨な存在というイメージが強かった。しかし現在は、全長4.5m以下の小さな車体に、高品質な内装を搭載したモデルが増えている。
例えば、トヨタ「ヤリスクロス」、ホンダ「ヴェゼル」、マツダ「CX-3」。いずれもコンパクトと上質さという、従来は相容れないとされてきた要素を同居させている。しかも、手の届かない高級車ではない。やや背伸びすれば購入可能な価格帯に収まっており、選択肢としての現実味がある。
なぜいま、自動車メーカーはボディサイズや価格を抑えながら、内装や快適性に力を入れるのか。その背景には、ちょうどいい贅沢を求める生活者の意識変化がある。
今後、日常と非日常のバランスをどう取るか。この問いに対するひとつの答えが、コンパクトSUVという選択肢に表れているのかもしれない。