「コンパクトSUV」が選ばれる根本理由! 止まらぬ「ちょい高級」化、手の届く贅沢に熱視線の現実

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高級感と実用性を備えた全長4.5m以下のコンパクトSUVが台頭。2025年3月の登録台数は前年比2.6%増の8.7万台に達した。「小さな高級車」という新潮流が、都市生活者の価値観や環境意識の変化を背景に定着しつつある。

実用性と感性の融合

日産キックス(画像:日産自動車)
日産キックス(画像:日産自動車)

 コンパクトSUVの高級化は一過性の流行ではない。各メーカーはニーズの変化を的確に捉え、柔軟に対応している。「大きければ高級」という旧来の価値観は崩れつつある。代わって、必要十分なサイズで質は高くという合理的な選択が支持を集めている。

 現在の市場では必要以上に大きくないことがむしろ美徳とされている。この傾向は一時的なものではなく、生活の在り方や消費の価値観と密接に結びついている。加えて、日本のユーザーは品質や細部へのこだわりが強い。車内での快適性や内装の質感、操作性は、購入の決め手になり得る要素だ。こうしたニーズに応えるかたちで、高級コンパクトSUV市場は今後も拡大が見込まれる。

 SUVという車種が選ばれる理由も見逃せない。道路環境を選ばず、乗降性にも優れるため、高齢化社会における実用性は高い。アウトドア志向の高まりや、防災意識の向上もSUV人気の下支えとなっている。災害時の安心感や、レジャー用途への汎用性は他の車種にはない強みだ。ちょうどいい贅沢を求める声に応じて、高級感とコンパクトさを両立する新世代SUVが台頭している。

 それはもはや単なる移動手段ではない。現代の価値観を体現する存在となりつつある。自動車産業は、合理性と感性の両立という新たな方向へとかじを切った。

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