なぜ今、「デジタルルームミラー」が売れているのか? 8400億円市場、年率13%超成長の裏側――死角解消、ADAS連携で安全・便利の新常識へ
デジタルルームミラー市場が急拡大している。2023年には世界市場規模が約8400億円に達し、年13%超で成長中。安全性と利便性を武器に、先進運転支援システムや新興国市場との連動で、自動車装備の新たな標準を狙う。
市場の驚異的な成長率

近年、自動車部品市場で「デジタルルームミラー」が急成長している。従来型のルームミラーには課題があった。後部座席の乗員や荷物で視界が遮られる。さらに、雨天や夜間などでは視認性が著しく低下する。こうした状況では後方確認が難しく、安全性にも影響を及ぼしていた。
デジタルルームミラーは、こうした課題を克服する手段として注目されている。カメラとモニターを組み合わせることで、視界の死角を減らし、状況に左右されない後方確認を実現する。
スポーツタイプ多目的車(SUV)やピックアップトラックといった人気車種の拡大も追い風となっている。新車への標準装備化やオプション設定が進み、市場の裾野は広がっている。アフターマーケットでも装着ニーズが高まっており、需要は増加傾向にある。
市場調査会社Global Market Insightsによれば、スマートリアビューミラー市場(デジタルルームミラーを含む)の2023年の規模は59億ドル(約8400億円)。2024年から2032年にかけて年平均成長率は
「13%超」
と予測されている。この成長率は、自動車産業全体の水準を上回る。市場が持つポテンシャルの高さを示す数字だ。
本稿では、なぜデジタルルームミラーがここまで成長しているのか。その背景を多角的に検証しつつ、今後の展望を探っていく。