なぜ今、「デジタルルームミラー」が売れているのか? 8400億円市場、年率13%超成長の裏側――死角解消、ADAS連携で安全・便利の新常識へ
デジタルルームミラー市場が急拡大している。2023年には世界市場規模が約8400億円に達し、年13%超で成長中。安全性と利便性を武器に、先進運転支援システムや新興国市場との連動で、自動車装備の新たな標準を狙う。
グローバルな市場動向と今後の展望
デジタルルームミラー市場は世界的に拡大しているが、地域ごとにその様相は異なる。Global Market Insightsの調査によれば、2023年時点で最大の市場シェアを握るのは北米で、全体の約35%を占める。この背景には、
・北米でのピックアップトラックやSUVの人気
・安全技術に対する規制や消費者意識の高さ
がある。一方、最も急速な成長が見込まれているのはアジア太平洋地域である。とりわけ中国では、自動車のスマート化を後押しする政府政策や、国内メーカーによる積極的な技術導入が市場拡大を牽引している。
日本市場でも、安全性への関心の高さが普及を支える。JVCケンウッドのような電子機器メーカーだけでなく、トヨタなど大手自動車メーカーもデジタルインナーミラーの標準装備やオプション化を進めている。
日本の道路事情は特殊だ。狭い路地や限られた駐車スペースでは、後方視界の確保が重要な課題となる。こうした環境も、デジタルルームミラーへの関心を高める要因となっている。ただし、普及にはなお課題も残る。現在の製品価格は従来型ミラーより高く、アフターマーケットでは
・取付工賃
・専門知識
が必要とされる。また、カメラ映像ならではの距離感の違いや、夜間のヘッドライトの眩しさに慣れが必要と感じるユーザーも一定数存在する。
それでも、技術革新が進めばこうした障壁は解消に向かう。量産効果によるコスト低下や、操作性の向上が課題解決に寄与するとみられる。
安全性と利便性。このふたつの普遍的な価値を提供するデジタルルームミラーは、今後も進化を続けていくだろう。自動車における標準機能として定着し、カーライフをより安全で快適なものへと変えていく可能性を秘めている。