トランプ関税、自動車産業に壊滅的打撃? サプライチェーン崩壊、米国内反発…「自由貿易の終焉」か、新たな秩序か
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トランプ大統領の相互関税政策が2025年4月に発動された。これにより、米国の自動車産業を中心にグローバル経済に強烈な影響を及ぼす。関税がもたらすリスクは、単なる経済対立にとどまらず、自由貿易体制そのものを揺るがす問いかけである。各国がこの課題にどう対応し、次の経済秩序を構築するかが今後の焦点となる。
米国生産移転の現実的課題

自動車産業の中でも、部品メーカーは特に厳しい状況に直面する。高関税の影響で部品価格が上昇し、価格転嫁が難しい中小企業などは深刻な打撃を受ける。サプライヤー間での淘汰が進み、企業の生き残り戦略が重要となる。
調達先の見直しや米国への生産移転は、現実的には難しい。工場用地の確保や従業員の調達、法規制への適応など、さまざまなハードルがあり、短期間での対応は非常に困難だ。そのため、自動車部品メーカーは
「米国市場から撤退するか、再投資するか」
という難しい判断を迫られている。部品生産をアジアから中南米などの米国に近い地域にシフトする企業や、複数拠点での生産地分散によるリスクヘッジを進める企業も出てくるだろう。
日本政府は、トランプ大統領の関税政策発表後すぐに米国政府と協議を開始した。石破首相は4月7日にトランプ大統領と電話会談を行い、両国の担当閣僚が協議を続けることとなった。しかし、今回の関税政策では通商交渉のルールそのものが揺らいでいる。単に報復関税を課すだけでは事態は解決しない。対立を避け、回避策を見出すことが重要だ。
そのためには、官民一体となって米国と新たな関係を築く必要がある。具体的には、地方政府や企業との連携による雇用創出プロジェクトや、米国内の大学・研究機関との技術連携など、多層的なアプローチが求められる。