トランプ関税、自動車産業に壊滅的打撃? サプライチェーン崩壊、米国内反発…「自由貿易の終焉」か、新たな秩序か

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トランプ大統領の相互関税政策が2025年4月に発動された。これにより、米国の自動車産業を中心にグローバル経済に強烈な影響を及ぼす。関税がもたらすリスクは、単なる経済対立にとどまらず、自由貿易体制そのものを揺るがす問いかけである。各国がこの課題にどう対応し、次の経済秩序を構築するかが今後の焦点となる。

グローバル経済の臨界点

自動車(画像:Pexels)
自動車(画像:Pexels)

 トランプ大統領は2025年4月2日、相互関税導入に関する大統領令に署名した。これにより、4月5日から全ての国・地域に対して一律10%の関税が適用された。さらに、規制や制度によって上乗せされる非関税障壁に関しては、4月9日から追加関税が発動した。日本に対しては、新たに24%の関税が課されることとなった。加えて、4月3日には輸入自動車に対する一律25%の追加関税も導入された。

 トランプ政権の相互関税政策は、中国や欧州連合(EU)、日本など主要な貿易圏との摩擦を一層激化させる見通しである。各国の経済が動揺し、世界の株式市場も混乱に陥った。グローバル経済全体に強い衝撃を与えている。

 こうした動きに対し、米国内からも強い反発が広がった。4月5日には全米各地で「Hands Off!(手を出すな!)」のスローガンを掲げた大規模な抗議デモが展開された。これは、米国の自由と権利を守るための、組織的かつ象徴的な民主主義運動と位置づけられる。

 ただし、今回の政策が意味するのは、単なる経済的対立ではない。トランプ大統領の打ち出した関税政策は、国際秩序や通商ルールの在り方に対する根源的な問いかけでもある。なぜこのタイミングで相互関税が持ち出されたのか。そして、この動きによって、誰が何を試されているのか。背景には、現代の国際経済が直面する構造的な転換が横たわっている。

 本稿では、相互関税と自動車関税をめぐる動向を起点に、自動車産業が今後取るべき戦略について、多角的に考察する。

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