トランプ関税、自動車産業に壊滅的打撃? サプライチェーン崩壊、米国内反発…「自由貿易の終焉」か、新たな秩序か
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トランプ大統領の相互関税政策が2025年4月に発動された。これにより、米国の自動車産業を中心にグローバル経済に強烈な影響を及ぼす。関税がもたらすリスクは、単なる経済対立にとどまらず、自由貿易体制そのものを揺るがす問いかけである。各国がこの課題にどう対応し、次の経済秩序を構築するかが今後の焦点となる。
スイング・ステートでの選挙戦略

では、なぜ自動車産業が今回の関税政策の標的となったのか。その背景には、経済規模の大きさと政治的な意味合いが複雑に絡んでいる。
とくにミシガン州をはじめとする「スイング・ステート(浮動票州)」には、自動車関連産業が数多く集積している。関税強化は、こうした州での支持獲得を狙った選挙戦略の一環と見られる。
さらに、米国の自動車メーカーもグローバルな部品調達や海外生産を前提にしたビジネスモデルを採用しており、関税の影響は外資企業だけでなく、米国内企業にも及ぶ。国内と国外の利害が交錯することで、関税政策はより複雑な様相を呈している。
加えて、電気自動車(EV)シフトの進展も状況を複雑化させる。EVはバッテリーや電子制御系の比重が高く、国際分業が一層進んでいる。こうした構造のもとでは、関税の引き上げが技術開発や価格競争力に直接影響を及ぼす。