トランプ関税、自動車産業に壊滅的打撃? サプライチェーン崩壊、米国内反発…「自由貿易の終焉」か、新たな秩序か

キーワード :
トランプ大統領の相互関税政策が2025年4月に発動された。これにより、米国の自動車産業を中心にグローバル経済に強烈な影響を及ぼす。関税がもたらすリスクは、単なる経済対立にとどまらず、自由貿易体制そのものを揺るがす問いかけである。各国がこの課題にどう対応し、次の経済秩序を構築するかが今後の焦点となる。

地産地消の限界と課題

ボルボ・米サウスキャロライナ工場(画像:ボルボ)
ボルボ・米サウスキャロライナ工場(画像:ボルボ)

 自動車メーカーは、サプライチェーンの再構築や米国への生産移管を余儀なくされている。すでに日産、ボルボ、メルセデスベンツなどが、関税回避のために米国内での生産拡大を検討しており、これが一種の迎合と見なされている。今後も米国での生産を増やす企業は増加すると予測されるが、巨額の投資と生産準備にかかる時間が課題となる。

 さらに、米国で生産される部品を使用するためには、コストだけでなく、品質や安定供給などの問題もクリアする必要がある。単純な地産地消が最適解とは限らないため、企業は全体最適に加えて、地域経済との整合性を考慮した地域最適のアプローチが求められる。

 加えて、カーボンニュートラルや持続可能性への対応も避けられない。環境規制や脱炭素化の圧力と、保護主義的なトランプ政権の政策の間で、企業は極めて難しい経営判断を迫られている。

全てのコメントを見る