トランプ関税、自動車産業に壊滅的打撃? サプライチェーン崩壊、米国内反発…「自由貿易の終焉」か、新たな秩序か

キーワード :
トランプ大統領の相互関税政策が2025年4月に発動された。これにより、米国の自動車産業を中心にグローバル経済に強烈な影響を及ぼす。関税がもたらすリスクは、単なる経済対立にとどまらず、自由貿易体制そのものを揺るがす問いかけである。各国がこの課題にどう対応し、次の経済秩序を構築するかが今後の焦点となる。

交渉戦略としての関税

ドナルド・トランプ米大統領(画像:EPA=時事)
ドナルド・トランプ米大統領(画像:EPA=時事)

 トランプ政権の関税政策は、表向きには米国製造業の雇用創出と産業振興を目的とする。特に、自動車、鉄鋼、半導体といった基幹産業が政策の中核に据えられている。

 しかしその実態は、外交上のディール(駆け引き)としての側面が強い。対象国や関税率の設定には戦略的意図が含まれており、為替や通商協定をめぐる交渉カードとしての役割を果たす構図がある。

 懸念すべきは、サプライチェーンへの影響である。現代の製造業は、もはや一国だけで完結しない。国際的な分業と連携のもと、コスト効率や品質が維持されている。このグローバルな枠組みが、関税障壁によって分断される恐れがある。その結果として、

・調達コストの上昇
・納期の遅延
・供給の不安定化

といったリスクが顕在化する。企業経営への影響は避けられず、特に多国籍展開を進める企業にとっては深刻な打撃となる。

全てのコメントを見る