運送業界は「腐ったリンゴ」を撲滅できるか?「改正貨物自動車運送事業法」審議も、ダンピング業者の根絶は難しいワケ

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1990年代の規制緩和で、運送会社の数は約1.5倍に増え、6万社を超えた。政府と運送業界は、過当競争を嫌い、運送会社の淘汰を進めている。しかし、その対象は「腐ったリンゴ」だけではなさそうだ。

多重下請け構造の是正と中小企業の危機

トラック(画像:写真AC)
トラック(画像:写真AC)

 先日、ある運送会社(B社)の社長と雑談をしていた。現在、政府は多重下請け構造の是正を進めており、政策のひとつとして、下請けの数を2次までに制限する方針を打ち出した。しかし、B社社長は

「ケースバイケースで、下請数の制限は柔軟に運用すべきでは」

と考えている。

「運送業界には、自分で仕事を取ってこれない、営業力が乏しい中小運送会社がたくさんいますよ。多重下請構造って、そういった営業力がない運送会社にとっては互助機能を果たしているじゃないですか。『営業力のない運送会社は廃業させよう』というのが政府の方針なんでしょうけど」

とB社社長はいう。そのとおり、多重下請け構造には“必要悪”としての側面がある。政府は営業力のない中小運送会社を切り捨てようとしているのは明白だ。

 ITリテラシーが低い運送会社にも同様の懸念がある。例えば、来春施行予定の改正物効法では、トラック輸送1運行あたりの荷待ち・荷役時間を2時間以内に収める「1運行2時間以内ルール」が荷主に課される。だが、荷主はどうやって荷待ち・荷役時間を把握するのか。バース予約システムや入退場管理システムを使う事業者もあるだろう。

 こういったシステムを整備できる事業者は限られている。多くは運転日報に頼らざるを得ない。荷主は、手書きの運転日報を受け取って

「ここから荷待ち・荷役時間をカウントしてください」

とアナログな方法を強いられることになる。運送会社にとっても同じことがいえる。荷待ち・荷役時間は一例に過ぎない。今後、デジタルデータを荷主に提供する機会が増えるだろう。デジタル化に対応できない運送会社は、荷主にとって厄介者になり、取引を切られる可能性がある。

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