ガソリン車はまだ“延命”できる!? 救世主は「次世代バイオ燃料」なのか? 課題はコストと供給量、日本企業の挑戦を考える
バイオ燃料の今後の展望
バイオ燃料の開発は、石油卸売業だけでなく、自動車メーカーにも広がっており、次世代バイオ燃料の普及に向けた積極的な取り組みが進められている。
例えば、マツダは「サステオ」の実用化に向けて実証実験を進めている。2021年11月、サステオを10%混合した燃料を使った「CX-5 BIO-FUEL 公道実証実験車」を岡山県で展示した。この車は広島から岡山国際サーキットまで自走した。この実験は、既存のディーゼル車でバイオ燃料をそのまま使える可能性を示し、燃料噴射の調整も不要だったため、実用化に向けた大きな一歩となった。
さらに、2022年からはスーパー耐久レースのST-Qクラスに「MAZDA2 Bio concept」で参戦している。この車は、微細藻類ユーグレナや使用済み食用油を原料にした次世代バイオディーゼル燃料を100%使用しており、食料競合や森林破壊といった問題を回避しながら、カーボンニュートラルの性能と信頼性を実証している。
しかし、これらの取り組みはまだ実証実験やレースの段階にあり、一般消費者への普及には時間がかかるだろう。経済産業省の資料によると、現状ではディーゼル車に対するバイオ燃料導入義務はなく、一部の事業者が独自の取り組みとしてバイオディーゼルを利用しているだけだ。
次世代バイオ燃料の普及には、技術開発、コスト削減、インフラ整備など、解決すべき課題が多い。しかし、カーボンニュートラル実現に向けては、政府や自動車メーカー、燃料供給事業者が連携し、段階的な普及戦略を立てることが求められる。
日本国内では、もみ殻や廃食用油、家畜の糞尿など、食料との競合を避けた持続可能な原料が模索されている。短期的には公共交通機関や商用車での利用拡大を、長期的には一般消費者向けの普及促進策の実施が必要だ。計画的なアプローチが欠かせない。
次世代バイオ燃料の普及に向けた取り組みには今後も注目していきたい。