ガソリン車はまだ“延命”できる!? 救世主は「次世代バイオ燃料」なのか? 課題はコストと供給量、日本企業の挑戦を考える

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次世代バイオ燃料の普及は、カーボンニュートラル実現に向けた重要な課題だ。2020年には次世代自動車の販売シェアが42%に達し、バイオ燃料の導入は温室効果ガス削減の鍵となる。しかし、高コストや供給不足、技術開発の進展が普及を阻む要因だ。2030年までにバイオ燃料10%混合ガソリンの供給を目指し、日本の未来を形作る新たな挑戦が始まっている。

バイオ燃料の課題

「化石燃料」の仕組みと、再生可能な生物資源(バイオマス)を原料にした「バイオ燃料」の仕組み(画像:ユーグレナ)
「化石燃料」の仕組みと、再生可能な生物資源(バイオマス)を原料にした「バイオ燃料」の仕組み(画像:ユーグレナ)

 バイオ燃料の普及には多くの課題があるが、最大の課題は製造コストの高さだ。

 全国バイオディーゼル燃料利用推進協議会の2021年度実績調査によると、バイオディーゼル燃料の製造コストの平均値は259.5円/Lとなっており、前年の235.1円/Lから大きく上昇している。経済産業省のデータでも、条件によっては約300円~700円/Lと試算されており、実用化に向けては技術開発がさらに求められている。

 現在、主流となっているのは食料と競合する「第一世代のバイオエタノール」であり、食料問題との兼ね合いも無視できない。

 このため、食料と競合しない第二世代のセルロース系バイオ燃料や第三世代の藻類由来バイオ燃料の開発が進められている。それでも、バイオ燃料の供給量は需要に対して十分ではない。国際エネルギー機関の予測によると、今後バイオ燃料は航空部門やトラック、船舶など、電動化が技術的に難しい分野や、CO2削減効果が高い分野に優先的に配分される可能性が高いという。

 そのため、次世代自動車の普及とバイオ燃料の実用化は、日本のカーボンニュートラル実現に向けて重要な課題となっている。技術開発や政策支援、インフラ整備など、多方面からのアプローチが必要だ。

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