ガソリン車はまだ“延命”できる!? 救世主は「次世代バイオ燃料」なのか? 課題はコストと供給量、日本企業の挑戦を考える

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次世代バイオ燃料の普及は、カーボンニュートラル実現に向けた重要な課題だ。2020年には次世代自動車の販売シェアが42%に達し、バイオ燃料の導入は温室効果ガス削減の鍵となる。しかし、高コストや供給不足、技術開発の進展が普及を阻む要因だ。2030年までにバイオ燃料10%混合ガソリンの供給を目指し、日本の未来を形作る新たな挑戦が始まっている。

高い製造コストに対抗する新原料開発

次世代バイオディーゼル燃料「サステオ」(画像:ユーグレナ)
次世代バイオディーゼル燃料「サステオ」(画像:ユーグレナ)

 先述した問題に対して、新たな原料開発が進んでいる。

 ユーグレナといすゞ自動車株式会社は、ミドリムシ由来のバイオディーゼル燃料「DeuSEL(R)」を共同開発した。ミドリムシは光合成で成長し、油脂を生成するため、食料との競合が少ない。持続可能な原料として期待されている。また、耕作放棄地を活用して栽培することで、土地の有効活用にもつながる可能性がある。

 ユーグレナ社は、ミドリムシを使った次世代バイオ燃料「サステオ」の開発も進めている。サステオは、使用済み食用油と微細藻類ユーグレナなどの持続可能な原料から作られる。この燃料の特徴は、分子構造が市販の軽油と全く同じであることだ。そのため、既存のディーゼルエンジンでそのまま使えるという利点がある。

 サステオはすでに実用化段階に入っており、バスや船舶などの陸・海のモビリティで活用されている。この取り組みは、次世代バイオ燃料の実用化に向けた重要な一歩だ。

 他の企業や研究機関も新たな原料開発に取り組んでいる。例えば、大手石油元売会社・ENEOSは2026年度に古紙を原料にした新しいパイロットプラントを稼働させる予定だ。また、他の企業でもセルロース系バイオマスを使った次世代バイオ燃料の開発が進められており、都市ごみや木質、草本を原料とした製造プロセスの研究が行われている。

 これらの技術が実用化されれば、廃棄物の有効利用と燃料生産を同時に実現できるだろう。

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