武蔵小杉の「町内会」解散の衝撃! もはや時代遅れの産物? タワマン住民は無関心? 令和の都市型コミュニティー、今後どうなるのか
町内会が機能しなくなった理由

町内会が機能不全に陥る要因はいくつかある。
住民の流動化が進み、地域とのつながりが希薄になった。かつては、一度住めば終の棲家となるケースが多く、地域に根ざした暮らしが一般的だった。しかし、現代では転勤や転職が当たり前となり、数年単位で引っ越す住民が増えている。その結果、「地域のために活動しよう」という意識が生まれにくくなり、町内会への加入率が低下している。特に都市部では、隣に誰が住んでいるのかも知らないケースが珍しくなく、町内会の存在すら認識されていないこともある。
タワーマンションの普及も町内会の存在感を薄めている。管理組合が防災や防犯、ゴミ出しのルール決定などを担い、マンション単位で生活が完結することが多くなった。これにより、町内会に加入する必要性を感じない住民が増えている。さらに、管理組合と町内会が並立すると、どちらが地域の意思決定を担うべきか不明確になり、町内会の役割が形骸化してしまう。
情報の取得手段の変化も影響を与えている。かつて町内会は、回覧板や掲示板を通じて地域情報を共有する役割を果たしていた。しかし、現在ではSNSや自治体の公式サイトが主な情報源となり、町内会を通じた情報共有の価値が相対的に低下している。特に若い世代は、町内会よりもデジタルツールで情報を得る傾向が強く、町内会の必要性を実感しにくい。さらに、町内会の情報発信がアナログに偏っていることが、若年層との距離を広げる要因にもなっている。
町内会の担い手不足も深刻な問題だ。運営を支えてきたのは高齢者世代だが、70代・80代の住民が継続して活動するのは限界がある。一方、働き盛りの世代にとって、町内会活動への参加は時間的な負担になりやすく、積極的に関わる動機を見出しにくい。さらに、価値観の違いも摩擦を生む。高齢者世代は「地域のために貢献すべき」と考えるが、若年層は「個人の生活を優先したい」と考える傾向が強い。こうした世代間の意識のズレが、町内会の運営をさらに難しくしている。