タクシー業界に「ベトナム旋風」は巻き起こるか? 「外国人は地理が弱い」「接客マナーが合わない」は時代遅れ? 10年で運転手4割減の現実を考える

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日本のタクシー業界は深刻なドライバー不足に直面しており、2022年には運転者数がピーク時から4割減少。政府は外国人労働者を受け入れる方針を打ち出し、特にベトナム人ドライバーの採用拡大が進む中、文化的な課題や偏見への対応が求められている。人口減少が進む日本社会において、外国人労働者の受け入れは、労働力確保だけでなく、共生社会を築くカギとなる。

深刻なタクシードライバー不足

タクシードライバー(画像:写真AC)
タクシードライバー(画像:写真AC)

 日本全国でタクシードライバーの不足が深刻化している。インバウンドや高齢者の利用が増え、都市部ではタクシーの需要が高まる一方で、ドライバーの数は減少の一途をたどる。

 国土交通省の統計によれば、法人タクシー運転者数は2004(平成16)年をピークに減少し、2022年には21万4972人まで落ち込んだ。過去10年間で約4割減少しており、このままのペースが続けば、業界の存続自体が危ぶまれる可能性がある。

 こうした状況を受け、政府は2024年3月、労働力不足を補うために外国人労働者向けの在留資格「特定技能1号」に運送業のドライバーを追加した。さらに、2024年末には

・トラック
・バス
・タクシー

のドライバーとして外国人が働ける特定技能制度を開始。これにより、タクシー業界で外国人が活躍する道が開かれた。しかし、

・偏見や差別
・文化の違い

といった課題は依然として残る。

 本稿では、タクシードライバー不足の解決策として、外国人労働者の積極採用が業界の活路となり得るのかを検証する。

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