タクシー業界に「ベトナム旋風」は巻き起こるか? 「外国人は地理が弱い」「接客マナーが合わない」は時代遅れ? 10年で運転手4割減の現実を考える
日本のタクシー業界は深刻なドライバー不足に直面しており、2022年には運転者数がピーク時から4割減少。政府は外国人労働者を受け入れる方針を打ち出し、特にベトナム人ドライバーの採用拡大が進む中、文化的な課題や偏見への対応が求められている。人口減少が進む日本社会において、外国人労働者の受け入れは、労働力確保だけでなく、共生社会を築くカギとなる。
ベトナム人の気質は誠実な人柄

ベトナム人は一般に勤勉で誠実な性格とされる。家族を大切にする文化が根付いており、仕事にも真剣に向き合う。温厚で親しみやすい人が多く、協力や調和を重んじる傾向がある。
筆者(成家千春、自動車経済ライター)がベトナムを訪れた際、ライドシェアやタクシーを頻繁に利用したが、ほとんどのドライバーは丁寧な接客態度で安全運転を心がけていた。利用前は乱暴な運転や素っ気ない対応を想定していたが、実際は交通ルールを守り、観光スポットを親切に教えてくれるドライバーもいた。全体的に紳士的な対応が多かった印象だ。
日本でタクシードライバーとして働くベトナム人の多くは、母国の家族を養うために来日する。仕事に真剣に向き合う姿勢は自然と強まるはずだ。彼らを単なる労働力としてではなく、日本社会に貢献する意欲を持った人材として捉える視点が求められる。