汐留vs大阪、汐留はなぜ「敗北」したのか? 国鉄跡地の再開発! 導線、組織…成功と失敗を分けた要因を考える

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国鉄清算事業団が抱えた「負の遺産」、汐留と梅田の巨大貨物駅跡地。2000年代、両地区は再開発の旗印のもと華々しく変貌を遂げた。しかし、2024年現在、明暗が分かれている。うめきたは「グランフロント大阪」が年間数千万人が訪れる一大拠点に成長。対照的に、汐留はオフィス空洞化と商業施設撤退が深刻化し、「都心のガラガラ施設」の烙印を押された。日本初の鉄道ターミナルと西日本の鉄道貨物輸送を支えた汐留と梅田に、なぜこれほどの差がついたのか。都市開発の光と影を追う。

歩行者視点で築く汐留再開発

汐留エリア(画像:写真AC)
汐留エリア(画像:写真AC)

 汐留もうめきたも、大都会の一等地だからこそ、大企業のオフィスや高級ホテル、話題性のあるレストランなど、特徴的な施設を誘致することには成功している。しかし、歩行者の動線や周辺地区とのつながりを意識した街づくりを行う主体の有無が、両者の成功を分けることになり、都市再開発における大きな教訓となっている。

 そして、こんなことをいうのもおこがましいが、賑わいが消えつつある汐留は、各街区が危機感を持って取り組むべきではないか。例えば、街づくりを行う汐留地区街づくり連合協議会を強化し、グランフロント大阪のように

・街全体のPR
・新橋・銀座・日比谷・浜松町などからの導線改善に向けた行政との協力

が必要だろう。特に、大規模な再開発が決まった築地方面からの導線確保は、極めて重要な課題だ。賑わいを回復するチャンスでもあるだけに、歩行者の視点を取り入れた開発が進められるべきだ。

 また、長期的には道路の地下化や建物の建て替えなどを考慮した「再再開発」に向けた取り組みも重要になるだろう。その際には、一部報道で見られた

「建物を壊して広場を作り、ヒートアイランド現象を解消する」

という案を本格的に検討するのも面白いのではないか。

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