「大型車 = 安全」はウソだった? 車重1.8トン超えはむしろ危険? 走る凶器? 死亡率7人増の現実データ、米国研究が指摘する意外なリスクとは

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「大きい車ほど安全」という常識に疑問を投げかける米国道路安全保険協会(IIHS)の新研究。車両重量の増加が安全性向上に寄与するのは一定の範囲にとどまり、それ以上の増加は衝突事故時に相手車両への危険性を高めることが明らかに。大型車選択のリスクとは。

重量増加のリスクと限界

自動車(画像:Pexels)
自動車(画像:Pexels)

 もし軽自動車とランドクルーザーが正面衝突した場合、どちらがよりダメージを受けるかは明白だ。しかし、「大きい車ほど安全」という考えには明確な限界があることが、米国道路安全保険協会(IIHS)の新たな研究で示された。

 現在、米国の民生車両の平均車重は約1814kgだ。もちろん、小型車や大型SUVなど車種によって車重には大きな差がある。

 一般的に、大きくて重い車に乗っていれば比較的安全だが、その一方で車両同士の衝突事故では、相手車両へのダメージが増えることを考慮する必要がある。今回の研究によれば、車両重量が車両群の平均より軽い場合、

「車重が500ポンド(約227kg)増える」

ごとに衝突事故での死亡リスクが大幅に減少する。しかし、そのメリットはすぐに頭打ちとなる。そして、車両重量が平均より重い場合、重量増加による死亡リスクの減少はほとんど見られないという。

 具体的には、平均以下の車重の車の場合、車両重量が500ポンド増えるごとに、登録車両100万台年あたりのドライバー死亡率は17人減少した。一方、衝突相手の死亡率はわずかにひとり増加したに過ぎない。

 つまり、平均より軽い車両に500ポンドの重量を加えても、相手車両へのリスクは実質的に増加しない。しかし、平均より重い車両に500ポンドを追加すると、相手車両の乗員への危険性は一気に高まることになる。

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