EV以上に危機!? 日本の深刻な「SDV」遅れ! GAFAとの資金力格差明らか…日本車復権のカギはどこにある?

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自動車業界の変革期、日本メーカーはSDVやBEVの競争で外国勢に後れを取っている。特にソフトウエア開発での遅れは深刻で、2024年には日本企業のAI活用率がわずか9.1%。このままでは、グローバル競争に立ち遅れる可能性が高い。

BEVより深刻なSDVの遅れ

SDVの定義と全体像(画像:PwC Japan)
SDVの定義と全体像(画像:PwC Japan)

 BEVは大型バッテリーを搭載し、モーターに電力を供給して駆動する車だ。ICEのように精密な技術のすり合わせが不要なため、コモディティ化(製品やサービスが広く普及し、企業ごとの違いがなくなって価格競争に陥ること)しやすい。極論をいえば、資金さえあれば部品を集めてBEVを製造することは可能だ。テスラやBYDの存在感は大きいものの、パワートレインの領域では自動車メーカーが巻き返す余地はある。

 しかし、問題はそこではない。単独での巻き返しが困難なのが前述のSDVだ。SDVとは、車両と外部をつなぐ双方向通信機能を活用し、ソフトウエアの更新によって新たな機能を追加し、性能を向上させる自動車を指す。サスペンションなどのハード面が向上するわけではなく、走行性能が直接的に向上するわけではない。しかし、

・エネルギー効率の改善
・カーナビの高度化

など、ソフトウエア領域での進化が重要になる。

 かつては運転そのものを楽しむために車を購入するドライバーが多かったが、若者の車離れが進むなか、自動車は移動手段としての「道具」へと変化している。そのため、カーナビやソフトウエアの利便性向上が、購買動機において重要な要素となっている。

 この流れが加速すると、売れる車の条件はソフトウエアの質に左右される。完全自動運転が実現すれば、車内はゲーム、音楽、スポーツ観戦、さらにはミニオフィスとしての空間へと変貌する可能性が高い。

 問題は、ソフトウエアの開発には膨大なコストがかかる点だ。アマゾンは2025年の投資額を約1000億ドル(約15兆円)と見積もっており、GAFA(Google、Apple、Facebook、Amazon)と日本企業の資金力の差は圧倒的だ。ホンダはSDV関連のソフトウエア開発に2030年までに10兆円(年間約2兆円)を投資するとしているが、規模・質ともに大きく後れを取っている。実際、ホンダはアマゾンのAWSを活用するが、日本にはAWSに匹敵する基盤すら存在しない。この点は、日本のデジタル産業における大きな弱点でもある。

 つまり、BEVはまだ巻き返しの余地があるが、SDVは一度差をつけられると、資金力の格差があまりに大きく挽回が極めて困難になる。日本ではBEVの遅れを懸念する声が多いが、それ以上に深刻なのは

「SDVでの敗北」

だ。今後、日本の自動車産業が世界の中心的な存在であり続けるためには、デジタル分野の遅れをどう克服するかが問われている。国の積極的な支援も不可欠となるだろう。

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