EV以上に危機!? 日本の深刻な「SDV」遅れ! GAFAとの資金力格差明らか…日本車復権のカギはどこにある?
自動車業界の変革期、日本メーカーはSDVやBEVの競争で外国勢に後れを取っている。特にソフトウエア開発での遅れは深刻で、2024年には日本企業のAI活用率がわずか9.1%。このままでは、グローバル競争に立ち遅れる可能性が高い。
BEVはHVを作れなかった欧州の逆襲

化石燃料は有限であり、いずれ枯渇することは誰もが理解している。さらに、地球温暖化が深刻化するなか、化石燃料を燃やして二酸化炭素を排出する内燃機関(ICE)は環境負荷が大きく、次世代のパワートレインをめぐる議論が活発になった。
筆者(武田信晃、ジャーナリスト)は幼少期、次世代のパワートレインはBEVになると漠然と想像していた。ラジコンなど、電池でモーターを動かす遊びが身近だったため、電気で車が走ることに違和感はなかった。
しかし、この議論に政治が絡むことで状況は複雑になった。化石燃料の消費を抑えるため、日本はハイブリッド車(HV)の技術で先行。一方、欧州勢はディーゼルエンジンに注力し、BEVに至る「中継ぎ」として活用する戦略を取った。
ところが、2015年に発覚したフォルクスワーゲンのディーゼルゲート(ディーゼル不正事件)により、この戦略は破綻。HVを導入しようとしても日系メーカーに追いつくことは難しく、自動車製造の主導権を失うと危機感を抱いた欧州連合(EU)諸国は、一気にBEVへと舵を切った。
しかし、急速なEVシフトによるひずみが露呈し、HVの延命は避けられない状況となった。一方で、中国の比亜迪(BYD)が開発したBEVが急速に台頭し、さらにトヨタが2027年にも実用化を目指す全固体電池の存在もあり、BEVが主流となる可能性が高まっている。