鉄道会社は「子育て」で生き残る? いまや共働き世帯「7割」時代! 駅ナカ保育園、小児運賃50円…子育てに相応しい交通環境はビジネスになるか
人口減少が進むなか、鉄道やバス事業者は沿線の活性化を迫られている。共働き世帯の増加により、通勤や子育て支援の需要が拡大。JR東日本の駅型保育園を皮切りに、私鉄各社も子育て支援施設を展開し、新たな収益源を模索する。学童保育や自習室の導入、低廉な小児運賃の設定など、多様な施策が進むなか、鉄道は地域社会と共存しながら成長できるのか。成功事例をもとに、公共交通と子育て支援の未来を探る。
子育て支援と鉄道経営の融合

鉄道事業において子育て支援をテーマに掲げる事業者として、小田急電鉄は特に知られている。2022年3月12日から、IC乗車券を利用する小児運賃を線内一律50円に設定した。大人運賃の半額以下という価格設定に加え、小児運賃を一律で低廉化する取り組みは全国の鉄道で初めての試みとして話題を集めた。
さらに、小田急電鉄は「子育て応援を象徴するマスコット」として「もころん」を制作し、通勤車両に子育て応援車両を導入。こうした施策によって、沿線の子育て世帯の増加や、家族での外出時の鉄道利用の増加が期待される。取り組み開始からまだ3年ほどのため、今後のビジネス効果の公表が待たれるが、都市や交通事業のブランディング効果に特に注目したい。
保育施設の安定収益に加え、子どもとその親を惹きつけるサービスデザインと、そのブランディング効果がカギを握る。加えて、鉄道系の路線バス事業者が
「駅の保育施設と自宅の送迎を担う」
ことで、増収の機会を広げることも可能だ。「子どもが乗りたくなる列車やバスをつくれば、自然と両親や祖父母も乗るようになる」という鉄道経営の鉄則がある。それを象徴するかのように、各地でキャラクター列車が次々と誕生してきた。公共交通の活性化において、子育て支援は重要なキーワードになるだろう。