自動車ユーザーは「財務省」のATMなのか? 9種類9兆円の重税で地方経済崩壊の危機! 課税根拠なき搾取を考える

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自動車にかかる税負担は、国民の生活と経済に深刻な影響を及ぼしている。現行の自動車関連税は9種類、総額9兆円規模にも上り、その構造は複雑怪奇だ。さらに、財務省と総務省は新たな環境自動車税導入を模索し、国民負担を一層重くしようとしている。地方経済が車に依存する現実を踏まえれば、これらの税制改革は急務だ。今こそ、自動車ユーザーと物流を支える車両に対する過剰課税の実態を明らかにし、税負担の適正化を求めるべきではないか。

9兆円もの税金を課されているユーザー

自動車(画像:写真AC)
自動車(画像:写真AC)

 政府は自らの権力の維持・拡大のために動くのであって、国民全体のことなど考えない――。国政に係る「不都合な真実」である。

 財務省は、国民が経済的に苦しもうが知ったことではないとばかりに増税路線を貫いている。故・森永卓郎氏はこの状況を

「ザイム真理教」

と評した。徴税する側の都合を有無を言わさず国民に押し付けて恥じない。税金にはそうした側面がある。タバコ、酒などと並んで自動車産業もまた、財務省(及び地方自治体に財源を回したい総務省)に狙い撃ちされている。

 自動車ユーザーは、9種類、9兆円もの税金を課されている。

●自動車重量税
 自動車の重量に応じて課される税金。新車購入時および車検時に支払う必要があり、重い車ほど税額が高くなる。道路の維持管理費用を補う目的がある。

●自動車税
 自動車の所有者に対して毎年課される税金。排気量に応じて税額が異なり、排気量が大きいほど税金も高くなる。都道府県税に分類される。

●軽自動車税
 軽自動車の所有者に対して毎年課される税金。普通自動車税よりも税額が低く、排気量660cc以下の軽自動車や二輪車(バイク)が対象。市町村税に分類される。

●自動車税・軽自動車税環境性能割
 新車購入時に、燃費性能など環境負荷の少なさに応じて課される税金。燃費性能が優れている車ほど税額が軽減され、電気自動車やハイブリッド車などは免税や減税措置を受ける場合がある。消費税増税にともない「取得税」に代わって導入された。

●揮発油税
 ガソリンに対して課される税金。1Lあたり一定額が課税されており、道路整備や交通インフラの維持費用などに充てられる。いわゆる「ガソリン税」の一部。

●地方揮発油税
 揮発油税と同様にガソリンに課される税金だが、こちらは地方自治体の財源となるもの。国が徴収し、地方自治体に配分される仕組み。

●軽油引取税
 ディーゼル車向けの軽油に課される税金。ガソリン税(揮発油税)の軽油版ともいえ、1Lあたり一定額が課税される。都道府県税として徴収され、道路整備や交通関連の財源となる。

●消費税
 自動車の購入時や修理、整備、車検費用などに対して課される税金。現在の税率は10%で、自動車本体価格だけでなく、オプションや手数料などにも課税される。

の九つである。自動車税、軽自動車税と、自動車税・軽自動車税環境性能割が2回出てきたりするなど、非常に複雑怪奇な税制となっている。徴税側や業界関係者以外訳がわからない税制といっていい。

 財務省・総務省は、この複雑怪奇な税制を維持しようとするばかりか、あわよくばここにさらに

「環境自動車税(走行距離課税)」

をも加えようと企んでいる。消費税をカウントするのはおかしいという議論が財務省系にはあるようだが、ガソリン税をはじめ、本体価格だけでなく(ガソリン等の)税金をかけた金額に消費税を課税するという

「不当な二重課税」

を行っている以上、消費税も考慮されるべきである。

 自動車にかかる税金は乗用車に限らず、宅配便や郵便局、トラックなど物流に欠かせない車両にも当然課されている。そして、地方では公共交通が衰退し、クルマによる移動に依存している現状がある。つまり、自動車関係諸税の問題は国内経済、特に

「地方経済」

に直結する問題なのだ。

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