自動車ユーザーは「財務省」のATMなのか? 9種類9兆円の重税で地方経済崩壊の危機! 課税根拠なき搾取を考える

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自動車にかかる税負担は、国民の生活と経済に深刻な影響を及ぼしている。現行の自動車関連税は9種類、総額9兆円規模にも上り、その構造は複雑怪奇だ。さらに、財務省と総務省は新たな環境自動車税導入を模索し、国民負担を一層重くしようとしている。地方経済が車に依存する現実を踏まえれば、これらの税制改革は急務だ。今こそ、自動車ユーザーと物流を支える車両に対する過剰課税の実態を明らかにし、税負担の適正化を求めるべきではないか。

財務省側に立つ自民党

自由民主党の党本部(画像:写真AC)
自由民主党の党本部(画像:写真AC)

 自民党の宮沢洋一税調会長は、ガソリン税に上乗せされている暫定税率の廃止に関し、「諸課題の解決策や具体的な実施方法などについて、引き続き協議を進める」と伝え、廃止時期を明示しなかった。

 さきほどから述べているとおり、暫定税率の問題はガソリン税だけではなく自動車関連諸税全般に及ぶべきものだが、そのガソリン税の暫定税率すら廃止しようとしないのが自民党である。

 国民民主党は、政策として、自動車関係諸税について

「自動車重量税は廃止することを前提に、まずは『当分の間税率』を廃止し、自動車重量税の国分の本則税率の地方税化を進めます。環境性能割は、旧自動車取得税の付け替えであることから廃止します。自動車税は、新車・既販車に関係なく、現在の営業・貨物・軽自動車の負担水準を基準とした税体系に改革します。ただし軽自動車が地方の重要な交通手段となっている現状に鑑み、十分な配慮のうえで検討を行います。ガソリンや軽油の本則税率に約50年間も上乗せされている「当分の間税率」を廃止し、国分の本則税率の地方税化を進めます。また、消費税との二重課税問題を解消します。自動車が生活必需品となっている地方のユーザーに大きな負担増となる、走行距離課税は導入しません。また、電動車普及の足かせとなるEV、FCVに対する税収確保ありきの増税は行わず、カーボン・ニュートラル実現に向け、電動車普及促進を継続的に実施します」

とうたっている。国民民主党の支持母体である労働組合のなかには、

「自動車総連(全日本自動車産業労働組合総連合会)」

が含まれており、いかにも業界を知る人間による政策論が展開されている。一方で日本自動車工業会をはじめとする事業者団体は昔から与党と関係が深く、自民党の政治資金団体である国民政治協会の収支報告書によると、同協会への献金額が大きい業界団体の3位には日本自動車工業会の名前がある。

 にもかかわらず自民党の政権公約には自動車関係諸税の見直しに関する言及はない。財務省に寄り添う自民党では、地方経済はますます衰退し、地方の自動車ユーザーには引き続き重税が課されることになるだろう。

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