ひび割れが50分で自然に治る! どういう仕組み? 英国発「自己修復するアスファルト」が日本のインフラ老朽化問題を救う? 英大学チームがGoogleのAIで発明

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埼玉県八潮市で発生した道路陥没事故は、下水道管の老朽化とインフラ維持の課題を浮き彫りにした。約120万人に影響を及ぼしたこの事故を機に、持続可能な道路整備の必要性が高まっている。そんな中、AIと植物由来の新素材を活用した「自己修復アスファルト」が注目を集める。ローマ時代の技術にも着想を得たこの革新技術が、道路メンテナンスの概念を変える可能性を探る。

道路陥没の衝撃

壊れた道路のイメージ(画像:写真AC)
壊れた道路のイメージ(画像:写真AC)

 埼玉県八潮市で発生した道路陥没事故は、地盤の安全性について改めて考えさせられる出来事となった。そんななか、道路が自然に修復されるという画期的な技術が開発されつつあることが明らかになった。この技術がどのようなものなのか、詳しく掘り下げてみる。

 まず、事故の概要を整理する。2025年1月28日、埼玉県八潮市で発生した道路陥没により、トラックが巻き込まれ、74歳の男性が車内に取り残された。救助活動中には草加八潮消防局の隊員が負傷し、入院を余儀なくされた。さらに、下水道の使用自粛が求められ、一時は約120万人が洗濯や入浴の制限を強いられるなど、市民生活にも大きな影響を及ぼした。埼玉県の大野元裕知事は記者会見で、

「キャビンに対してアクセスすることが優先されるべきと考え、工事の完了までには約3か月を要する見込みではありますが、現時点では、これが最も早期にキャビンにアクセスできる方法」

と説明。また、財政支援や検証の実施を求める要望書を国土交通省に提出した。

 国土交通省は、事故を受けて直ちに下水道管路(総延長約420km)に設置された約1700か所のマンホールで緊急点検を実施。その結果、3か所で管路の腐食などの異常が確認され、今後対策が検討されることになった。あわせて、道路の陥没や路肩の崩壊などの損傷についても広く情報を収集し、対応を進める方針を示している。

 今回の事故の原因は、下水道管の破損による地盤の沈下とみられている。こうした事態は、一度発生すると甚大な被害をもたらす。未然に防ぐためにも、今回のケースを契機として、道路インフラ全体の総点検が急務といえるだろう。

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