トヨタ、水素で欧州攻略なるか? 中小企業と挑む「脱炭素」戦略! 燃料電池車から水素エンジン車、そしてインフラ構築へ

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トヨタが欧州でモビリティ変革を加速させる。中小企業との連携を強化し、BEVや水素技術を軸にサステナブルな社会の実現を目指す。2023年に発表した「トヨタオープンラボ」は、オープンイノベーションの拠点として始動。さらに、仏HRSやENGIEと提携し、水素燃料補給インフラの拡充を推進。BEV市場での競争が激化するなか、トヨタは次世代電池開発も加速。欧州5億人市場での戦略が注目される。

欧州で水素インフラ開発に参入

トヨタオープンラボのウェブサイト(画像:トヨタオープンラボ)
トヨタオープンラボのウェブサイト(画像:トヨタオープンラボ)

 トヨタが今後、欧州でどの企業と提携するのかが注目される。同社は水素エンジン車の開発を進めているが、欧州では水素充填インフラの整備が加速している。

 欧州トヨタは1月28日、次世代の水素燃料補給システムの構築に関する契約をフランス企業のHydrogen Refueling Solutions(HRS)およびENGIEと締結した。この契約は、欧州全域に水素ステーションネットワークを展開する大規模なプロジェクトの一環だ。

 HRSは高容量水素燃料補給ステーションの世界的メーカーであり、ENGIEはエネルギーインフラの設計・構築・運用を手掛ける企業だ。トヨタは今回の契約により、水素技術を搭載したトラックを提供する。3社の協力により、設置コストの大幅な削減が見込まれ、コスト効率の高い水素燃料補給インフラの構築が加速する見通しだ。

 例えば、40tトラックでは8分間で600km、12分間で900kmの走行に必要な燃料を補給できる。BEVの充電と比較して格段に速く、化石燃料車と同等の航続距離を実現する。水素燃料は、排出されるのがほぼ水だけという環境負荷の低さが特長だ。しかし、圧縮や供給には高度な技術が求められる。ここでトヨタの技術力が生かされることになる。

 欧州連合(EU)は2030年までに代替燃料インフラの拡充を目標として掲げており、トヨタは現地企業と連携しながら水素補給ステーションの設置を加速させる。パリ五輪では公式車両として、燃料電池車「ミライ」500台と燃料電池バス10台を提供するなど、欧州での実績を積み上げてきた。

 人口約5億人の欧州市場で水素インフラ事業に参入することは、水素エンジン車の可能性を信じて開発を進めてきたトヨタにとって、大きな節目といえるだろう。

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