なぜトラックドライバーは「430休憩」に不満を抱くのか? 強制の裏に潜む矛盾! 休憩なのに休めない現実、SA・PA不足… 休憩概念の“ズレ”を考える
「430休憩」制度はトラックドライバーにとって、規則の厳格さと現実の運行状況との間で矛盾を生む。休憩時間の柔軟化やSA・PAの駐車スペース拡充、デジタル技術を活用した疲労管理が求められる中、なぜ現場では不満が続くのか。規制と実情のギャップを乗り越えるための解決策を探る。
ペース配分を乱す「強制休憩」

もうひとつの問題は、休憩の強制である。
長距離ドライバーは、自身の体調や走行リズムに合わせてペースを調整している。彼らは自分の身体の声を聞きながら、
「このタイミングで休憩を取ることで、結果的に効率的に走行できる」
といった判断を日々行っている。しかし、「430休憩」は一律のルールであるため、個々のコンディションや走行計画を無視して強制的に適用される。
例えば、あと30分で目的地に着くのに、その直前で休憩を取らなければならないとなれば、誰でもフラストレーションを感じるだろう。
ドライバーにとって、最も合理的な走行方法は
・行けるときに一気に走る
・休むべきときに休む
といった自己調整である。しかし、ルールによって休憩を強制されることで、この合理性が損なわれるのだ。
これは、マラソン選手に10kmごとに必ず15分の休憩を取れと指示するようなもので、選手によってはそのペース配分が逆に疲労を増幅させることもあるだろう。