オーバーツーリズム議論は時代遅れ!「インバウンド多い = 社会問題」ではなく、適切な管理がカギ! 日本に求められる「バランスの取れた観光」とは
日本の観光政策は、単なる観光客数の増加にとどまらず、地域との調和を重視した持続可能な発展が求められている。観光地ごとの「バランスの取れた観光」の実現に向け、地域経済、環境、社会の三つのバランスを如何に保つかが重要な課題となる。
欧州旅行代理店協会の視点

「オーバーツーリズムという表現は、問題を単純化しすぎている。私はバランスの取れた観光(Balanced Tourism)、あるいはバランスを欠いた観光(Unbalanced Tourism)について議論したい」
これは欧州旅行代理店協会(ECTAA)のフランク・オースダム会長が発した言葉だ(北欧・国際比較文化ジャーナリスト鐙麻樹氏の2025年2月1日付け記事「オーバーツーリズムはもう古い 最新の旅行トレンドとは」より)。オースダム会長の主張は、観光客が多すぎるという現象だけを問題視するのではなく、観光が地域社会や経済にどのように影響を与えるのかを考慮すべきだという視点を示している。
オーバーツーリズム(観光公害)という言葉が使われる際、一般的には「観光客が多すぎて地元住民の生活に支障をきたす状態」を指す。しかし、観光客が多いこと自体が問題なのではなく、観光が適切に管理されているかどうかが重要である。
この視点を日本に当てはめると、私たちはどのような観光のあり方を目指すべきなのかを再考する必要がある。本稿では、日本における「バランスの取れた観光」の実現に向け、複数の観点からその可能性を探る。